株式会社 稲荷山

国の発展とスクラップの役目The Role of Iron Scrap

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The Role of Iron Scrap

鉄鋼産業が脱炭素社会を⽬指す為に
鉄スクラップの価値と期待は上昇

さまざまな業界が転換期となる⽇本政府による「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」という⽅針の表明がされた2020年。鉄鋼業界も例外ではなく、今後取り巻く環境は変わり影響が拡がっていきます。そして、鉄スクラップは「50年実質ゼロ」の⽬標のために⼤きな期待がかけられています。

The Role of Iron Scrap日本で生産される鉄鋼製品の約3分の1は
鉄スクラップが由来の原料

日本で日々生産されている鉄鋼製品。その原料1億4千万トンのうち、約5,300万トン(約38%)が鉄スクラップ由来の原料となっています(※1)。東京タワーの約1万3千個分にもなるこの膨大な量の鉄スクラップは、工場で生産と同時に発生する加工スクラップ、土木・建築物解体で発生するスクラップ、自動車や機器などの使用済製品から回収されます。回収した鉄スクラップは中間処理業者が加工し、鉄スクラップを主原料とする電炉メーカーによって再び鉄鋼製品となります。

鉄鋼製品は工場、建設、インフラ、都市開発などさまざまなシーンで欠かせない製品。国の発展と比例して需要と生産量が上がるほど、必要な原料も増え、それと同時に発生する鉄スクラップの量も増えていくのです。

(※1)環境省 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書より(出典:日本鉄鋼連盟)

The Role of Iron ScrapSDGs(持続可能な開発目標)と
鉄スクラップが果たす役目

現在電炉で生産される鉄鋼製品は、原料がスクラップという性質、技術上から厳しい高品質性を求められる自動車用の構造用高張力鋼板などのような部材には用いられず、天然資源の鉄鉱石を主な原料とする高炉でつくられる鉄鋼製品が使用されています。

しかし、昨今国連のサミットで決められたSDGs(持続可能な開発目標)によって国際社会はCO2削減やマテリアルリサイクル促進、低炭素社会への変化が急務となりました。そのため、CO2排出量が高炉の25%程度という試算もあり、天然資源を原料としない電炉で生産された鉄鋼をもっと使おうという動きが盛んになっています。環境省では「鉄スクラップの高度利用化実証事業」を実施し、電炉の技術向上を推進。今までは鉄スクラップが主原料の鉄鋼は使われていなかった製品にも使用が拡がると考えられます。また、市中埋蔵スクラップの回収も盛んになっていくことでしょう。

The Role of Iron Scrap鉄スクラップは国際商品
鉄スクラップの輸出大国日本

都市開発が進む発展途上国では、インフラ整備や建設のために鉄鋼製品が多く必要となります。ビルや施設、工場などがどんどん造られ、人が集まり生活水準も上がり、工業製品の消費も増加します。そのため、土地や建設費用が高炉よりも少なくすむ電炉を使い鉄鋼を生産するのですが、まだ国内に主原料である鉄スクラップが少ない途上国は、輸入に頼らざるを得ません。鉄スクラップは工業先進国で多くが発生し保有しているのです。

鉄スクラップの最大の輸入国はトルコで、韓国・中国・台湾の東アジア3カ国がこれに続きます。この東アジア3カ国のマーケットに限れば日本の輸出シェアは約50%ほどで第1位となり、全体ではアメリカに次ぐ第2位(EU域内流通を除く)の鉄スクラップ大国なのです。そして今後の国際マーケットは、東南アジアやインド等の西アジアが成長市場として注目されています(※2)。

(※2)国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 、低炭素社会戦略センター(LCS)「低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書」より参考

The Role of Iron Scrap世界は脱炭素社会に向けて本格始動
そのために必要な鉄スクラップは21世紀の花形産業へ

パリ協定を実現するために、欧州連合(EU)をはじめ世界122の国と地域(経済産業省)が「50年実質ゼロ」を⽬標に掲げ、⽇本政府も「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」⽅針を表明しました。経団連は「チャレンジ‧ゼロ(チャレンジネット‧ゼロカーボン イノベーション)」宣⾔によって政府と連携し、取り組みを進める企業や団体を後押ししています。社会が⼤きく変わろうとしている今、世界中のあらゆる産業、業界はこの⽬標に向かってイノベーションやそのための投資を進めています。

鉄鋼産業の2019年世界粗鋼⽣産量は18億7,000万トンにのぼり、2018年⽐ 3.4%で増加(※3)、3年連続で過去最⾼を更新しています。このように世界での製鋼製品の⽣産量は右肩上がりで増えているなかで、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするという⽬標を実現するためには、技術向上と電炉による⽣産量の⽐率増加が求められます。そんななか英国の⼤⼿製鋼メーカーは⾼炉から電炉へと転換し、カーボン‧ニュートラルに向けて舵を切り始めました。この動きは今後、他のメーカーにも広がり、世界中で電炉が増えていくと考えられます。

電炉が増えれば、必要になる原料の鉄スクラップも増える。世界中で取引される鉄スクラップの価値と期待は、脱炭素社会の実現に向けて上昇しています。

(※3)世界鉄鋼協会(Worldsteel)調べ

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